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マーケティングの業界動向とDM動向

公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)は、2018年8月22日(水)、23日(木)の2日間、「JAGAT Summer Fes 2018(夏フェス2018)」を開催いたします。当イベントでは、「デジタル×紙×マーケティング」をテーマに、様々なカンファレンス・セミナーを実施します。それに先駆けて、前回行われた「夏フェス2017」セッションの内容を一部紹介します。

マーケティングもデジタルの時代

マーケティングはデジタルが主流になっている。スマホが普及することで、例えば行動履歴や位置情報などが収集できるようになり、それが個人のID に紐付いて、すべて同じデータベースが入るようになった。

このデータを統合するDMP(データマーケティングプラットフォーム)に、あらゆるオフライン、オンラインのデータをすべてまとめて、ユーザーの趣向性、行動、デモグラなどのデータを統合して、ターゲティングをできるようになった。

ユーザーの好みなどが把握できるようになって、マーケティングはダイレクト化している。デジタルマーケティングのメリットは、瞬時に情報発信でき、効果測定もすぐにできることである。TVCM やDM などでは、例えば購入や資料請求などが起こって初めてレスポンスが分かる。しかし、デジタルならその前の段階、例えば検索やウェブサイト訪問などが把握できる。その結果、効果を把握しやすいということでデジタルへのシフトが起こっている。

とはいえ、生活者はデジタルもアナログも縦横無尽に行き来している。テレビや新聞への接触する時間が減っているといわれるがゼロではないし、実際にイベントやお店にも行くし、DM も受け取る。これらはアナログだ。


一方、デジタル分野はウェブキャンペーンや動画広告など、次々にソリューションが登場している。また、今のマーケティングの責任者はデジタルマーケティングが登場してからマーケティングに関わり、デジタルばかりの人が多い。つまりアナログのコミュニケーション、マーケティングの意識が薄くて、経験もない人が多い。

デジタルでは結果はすぐに見えて会社で評価される一方で、デジタル中心の施策設計に悩み始めている。その理由としては、例えばメールの開封率やパーミッション率で、かならずしも期待どおりのコミュニケーションができていない。

更にデジタル広告のブロックや、効果がすぐに分かるがゆえに効率至上主義になって広告効果の減少などが問題になっている。

デジタル+アナログの可能性

その課題をデジタルとアナログを組み合わる施策展開で解決できる可能性がある。ところがデジタルだけやってきた人は、アナログの使い方が分からないということがある。

実際にデジタル+ アナログのマーケティングは有効なのかという点については、日経BP コンサルティングが上場企業約400 社、対象が2000 数百社のマーケターに調査したものがある。デジタルとアナログ両方組み合わせている会社では、デジタル施策の効果が出ているというのは60.8%、アナログ施策の効果が出ているというのが68.2%、どちらか一方だけの施策ではデジタル施策の効果が出ているというのが31.0%、アナログ施策の効果が出ているというのが47.9%である。※(「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査」2016 年3 月、2016 年9 月、調査企画・実施: 日経BP コンサルティングより)

デジタル施策とアナログ施策組み合わせたほうが、明らかに効果が出ている。ちなみに両方を組み合わせている会社は29%で、現状7 割の会社がやっていないことになる。

デジタル+アナログの実験的な施策例

・BtoC

F 社ではフォトブックや年賀状プリントなどのフォトブックや年賀状プリントネットプリントサービスビジネスを展開している。オンライン施策では、売り上げが向上の効果が出ていたが、メールパーミッションを得ているユーザーが約半数いるにもかかわらず開封率は15%で、会員の8% としかコミュニケーションがとれていなかった。

また、分析するとメール拒否層の中にも優良顧客がいた。これらの課題に対して2 つのクラスターで、オンライン施策とDM を併用する施策を実験した。優良顧客であるがオンライン施策がリーチしていない層と、[写真年賀状印刷」だけしか利用しないようなワインタイマーと呼ばれるクロスセルのない層である。

両方ともメールマガジンを購読している層と、していない層に同数を抽出した。DM の提案はお礼の感謝の気持ちをこめて「無料のフォトブック作成」ができるというものである。写真年賀状印刷のユーザーは、毎年利用しているような顧客でも、それだけしか利用ないので、毎年新規顧客というモデルになっており、継続したコミュニケーションで他商品も購入してもらえるリピート客に育てたい。

施策ではマーケティングオートメーション(MA)を使って、DM にユニークURL を発行し、サイト来訪者が誰かを分かるようにした。送付したのは圧着DM で、ターゲット別に内容を変えている。e メールの開封率とDM のランディングページのサイトアクセス率で比較した。結果は、e メール開封率と比べるとの2.6 倍にアップ。e メールのサイトアクセス率と比べてCTR(クリック率)が60 倍になった。

・BtoB

BtoB の名刺管理ソフト会社では、オンラインだけでアプローチできない顧客にデジタル+ アナログ施策を行った。同社はMA を導入してデジタルマーケティングを展開して効果は出ていたが、メール送ってもまったく反応しない層が増えていた。

そこで、メールだけで開封していない人たちに対して、e メールだけ、DMだけ、DM+eメールの組み合わせで実験をした。結果はDM+e メールのCTR がe メールの1.8 倍で、資料へのアクセスが1.5 倍だった。

クリックした人間の9 割が資料へ到達している。DM はクリエイティブでの効果が関係ないようにシンプルな封筒に、挨拶状と、「あなただけに特別な資料を用意しています」という情報をいれただけのものである。DM ならではの効果として3 つの気づきがあった。

  1. eメールで届かない層へのリーチ
  2. 反応期間が長く続くということ
  3. シャワー効果で、送付対象者人と違う人からの反応がある。受注顧客にヒアリングした結果、送付対象者の上司からDM を渡されて検討するように指示されていた。

うまくDM を活用するために

マーケティングコミュニケーションは、誰に送るかというターゲッティング、いつコミュニケーションするかというタイミング、どのようなクリエイティブにするか、どのようなオファーするかの4 つになる。これデジタルでもアナログでも同じだ。

アナログはタイミングという点でスピードへの対応ではデジタルに劣っている。しかしMA でシステマティックにターゲティングし、タイミングも適切に判断できるようになった。

更にデジタル印刷機で事前にクリエイティブをセットしておくことで、かなり自動化して対応できる。コスト面でもデータドリブンできちんとターゲッティングすることで、コストに見合うだけのプロフィットを得ることができる。デジタルマーケティングを活用することで、リアルDM はコミュニケーションツールとして高い効果を発揮できる。


(JAGAT主催「夏フェス2017」基調講演「ここまでオフライン活用は進化した。どんなITにでも繋がる『モノ』で、コミュニケーション革命を。」(講演者:日本郵便 鈴木睦夫氏)より)


※次回のJAGAT Summer Fes2018は8月22日(水)~23日(木)に開催します。

JAGAT Summer Fes 2018」8月22日(水)、23日(木)@東京都杉並区 JAGAT本社

紙デジ編集部

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「デジタル×紙×マーケティング」をテーマに page2019 開催!

2019年2月6日(水)から8日(金)の3日間、国内印刷業界最大級のイベントpage2019を開催します。
今回のテーマは「デジタル×紙×マーケティング」です!