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消費者ニーズを掘り起こして用途開発に成功 ウェアラブルメモ「wemo」

工業用粘着テープなど機能性フィルムのメーカーである株式会社コスモテックは、2017年にウェアラブルメモ「wemo(ウェモ)」を発売して、現場最前線で働く人々を中心にユーザーを増やしている。第27回日本文具大賞で機能部門の優秀賞を受賞し、第29回 国際 文具・紙製品展 ISOT(7/4(水)〜6日(金)/東京ビッグサイト)の初日に表彰を受けた。

「wemo」は「いつでも どこでも かける おもいだせる」を謳った、身に付けるメモだ。
現在販売されているのは、シリコンバンド型の「消せる」タイプ。細長い板を腕に当てて巻きつけるとバンド状になる。バンドの表面に特殊なコーティングを施すことにより、油性ボールペンで直接書き込むことができ、消しゴムや指でこすることで消せる。手軽に書ける上、何度でも使えるのが魅力だ。

wemoのシリコンバンド型「消せる」タイプ

「消せる」タイプのwemo(ISOT展示会場にて)

アワード受賞をきっかけに事業展開

開発のきっかけは2016年、コスモテックが東京都主催の事業提案コンペティション「東京ビジネスデザインアワード(TBDA)」に参加したこと。この時にテーマとしたのは自社独自の「肌用感圧型転写シール技術」。従来の転写シールは一旦水に浸す必要があったが、「肌用感圧型転写シール技術」は圧をかけることで絵柄を対象に貼り付けることができ、ファンデーションテープやタトゥーシールなどに応用されていた。
このテーマに対して、ビジネスコンサルティング会社 kenma inc.の今井 裕平氏、林 雄三氏、木村 美智子氏が「肌に貼って直接書けるメモシール」を提案し、見事優秀賞を獲得した。

コスモテックとkenma inc.は、受賞後も事業展開の方向を模索し続けた。

開発当初想定していたユーザーは、仕事中、手にメモをすることが多いという看護師たちだった。彼らにヒアリングし、試作品をテストしてもらいながら、製品の完成度を高めていったのである。

その一方で看護師以外にも、農家など、メモ帳やモバイル端末を頻繁に取り出すことができない現場で働く人たちがいることに気づき、ユーザーの対象を広げていった。

現在は医療、介護、保育、農業、施設運営、旅行、スポーツなど幅広い分野で活用されている。そのほか、ADHD患者など、記憶することにストレスを感じる方々にも愛用されているという。

製品の形も、TBDA受賞時は、手に貼り付けるシールタイプだったが、もっとビジネス展開できる素材を模索する中で、シリコンバンドのアイデアが浮かび、「消せる」タイプを商品化することになった。

製品開発と同時に販路開拓も進めた。2017年に第28回 国際 文具・紙製品展ISOT、病院/福祉設備機器の専門展示会 HOSPEX japan 2017に出展し、テレビキー局をはじめ、新聞、雑誌などのメディアに取り上げられることで次第に知名度を上げていった。

ラインアップの拡充を図る

「消せる」タイプは2017年11月にAmazonで販売を開始し、現在は東急ハンズ、ヨドバシカメラ、ビックカメラでも扱っている。今週以降、以下のタイプを順次発売予定だという。
・「貼れる」タイプ:「消せる」タイプに転写シールを貼って書き込む
・「隠せる」タイプ:転写シールを直接肌に貼って、目立たないようにできる
・「パッド」タイプ:シリコン製で裏面が吸着シートになっている
・「ケース」タイプ:シリコン製で、スマートフォンやタブレット端末のケースとして使える

wemoの「パッド」タイプwemoの「ケース」タイプ

左:「パッド」タイプ 右:「ケース」タイプ(ISOT展示会場にて)

kenma inc.でコンサルティングディレクターを務める今井氏は、肌用感圧型転写シール技術の用途開発に当たり、事業戦略の観点から「ファッションよりファンクション(機能)」で勝負したいと考えたという。

*今井氏は、JAGATの印刷総合研究会「ビジネスをデザインする―新しい価値を生み出す思考法」(2018年10月19日開催)に登壇し、wemo開発の過程についてもお話しをいただいた

従来はファッション用途に使われることが多かったこの技術は、wemoによって新たな用途が見出され、マーケットも広がっている。

自社技術の活用と消費者ニーズの掘り起こしがうまく一致したこと、メディアを活用して販路を拓いたことなど、ものづくり企業の今後の発展方向を示唆する事例だといえる。
今後の展開に注目したい。

紙デジ編集部

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