Original

リアルとバーチャルの境界を体験する「光るグラフィック展2」

クリエイションギャラリーG8(株式会社リクルートホールディングス運営/東京・銀座)で、 2月22日(金)から「光るグラフィック展2」が始まった。

デジタル技術の進化やインターネット環境の変化により、現実と仮想の境界がなくなってゆく中で、「オリジナル」の所在はどこにあるのか、現実空間と仮想空間のそれぞれに置かれたとき、グラフィックはどのように存在するか、体験していただく展覧会にしたいと考えております。
(展覧会Webサイトより)

「現実と仮想の境界」と聞くと、何か哲学的なような、難しいことのように思ってしまうけれども、実際に鑑賞すると、とても面白い展覧会である。

会場を、作品を展示した実空間と、その展示風景をバーチャルギャラリーとして再現する3D空間に分けて構成している。

実空間

▲実空間の作品展示

本展の醍醐味はなんといっても、メディア・アーティストの谷口暁彦氏が手掛けた仮想空間・バーチャルギャラリーだ。
会場のいちばん奥の場所にあり、壁面いっぱいに展覧会の風景を再現した3D空間が投影されている。ゲームコントローラーを使うと、視点や立ち位置を動かして、会場の隅々まで鑑賞することができるし、3D空間内で写真を撮影することもできる。

3D空間

▲3D空間のバーチャルギャラリー

ただし、3D空間に広がっているのは、実空間の単なるコピーではない。
同じようでいて、実は変化しているところがある。
例えば、実空間の平面作品が3D空間では壁面から飛び出していたり、逆に実空間の立体作品が3D空間では平面作品になっていたり、または、絵画作品がアニメーション作品に変わっていたり。

展示会場だけではなく、会場の外にあるリクルートGINZA8ビル1Fロビーまでを再現してあり、そこにも、ちょっとした仕掛けがある。

実空間と3D空間のどこが同じでどこが違うのかを探しながら、会場を行ったり来たりすることで、実空間の作品の見方も変わってくる。

実空間の作品は、企画協力の田中良治氏らがセレクトしたり、新たに制作を依頼したもので、いずれも、「オリジナル」の所在への疑問を投げかけている。

例えば、原田郁氏は、3Dモデリングソフトを用いて、コンピューターの中に架空の世界を作り、そこで擬似体験した風景をもとに、絵画を制作するという、独特のスタイルで活動を続けている。

カワイハルナ氏は、アニメのセル画と同じ技法を用いて、物事に対する既存の概念を超えた表現で、独特の立体物を描いている。

多彩な創作活動で知られる長谷川踏太氏は、今回「枯葉踏みとポテトチップス」という作品を展示している。「作者が幼少期に開発した、おいしいポテトチップスの食べ方」を鑑賞者が体験できる趣向だ。

その他にも、2016年に亡くなった佐藤晃一氏が、印刷博物館主催の「グラフィックトライアル2013 ―燦(さん)―」で制作した、蛍光インキの実験作「かがやく少女」、亀倉雄策氏による大阪万博ポスター(1967年)など、見ごたえのある作品が並ぶ。

バーチャルリアリティの技術と、クリエイターの創造力が一体となった、不思議で、楽しく、ちょっと考えさせられる展覧会である。
会期は3月28日(木)まで。

光るグラフィック展2
“Illuminating Graphics 2”

会期:2019.2.22 金 - 3.28 木
時間:11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料

主催
クリエイションギャラリーG8

企画協力   
田中良治(Semitransparent Design) 谷口暁彦 萩原俊矢

参加作家

藍嘉比沙耶
exonemo
大島智子
葛西薫
亀倉雄策
カワイハルナ
北川一成
groovisions
小山泰介
佐藤晃一
Joe Hamilton
鈴木哲生
谷口暁彦
永井一正
永田康祐
Nejc Prah
長谷川踏太
原田郁
UCNV

関連イベント

第295回クリエイティブサロン
日時:2019年3月20日(水) 7:10p.m.-8:40p.m.
場所:リクルートGINZA8ビル1Fロビー(クリエイションギャラリーG8隣)
参加費:無料、要事前予約
出演:谷口暁彦 原田郁 保坂健二朗
モデレーター:田中良治 ※敬称略
定員:100名

展覧会Webサイト


参考:「光るグラフィック展(2014年)」
紙からデジタルへとメディアが変わりつつある中で、15組のグラフィックデザイナー、デジタルクリエイターの作品を同じサイズの光るモニターで展示し、クリエイターの多様な表現やアプローチを紹介した。

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